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日本の神話における事代主神(コトシロヌシ):古事記の物語を探る

私たち人間は、歴史の中で、見えない力や自然の現象を「神」として捉え、それを敬い、畏れてきました。

世界各地で異なる形で信仰されている神々は、自然現象が神さまにまつわるエピソードになっていたり、ご先祖さまなどを神(仏)と見なすなど、その土地や地域ごとに多様になっています。

それは古代ギリシャやエジプトの神々などが【神話】となって、人々の生活や文化に根付いたと考えてよいでしょう

神とは、人間が理解し難い現象たちに名称や意味を持たせ、この世界に確立させ安心感を得るための存在ともいえるのではないでしょうか。

その中でも、日本には特異な神々の文化が存在します

日本の神々に関する最も古い文献である【古事記】や【日本書紀】には、多くの神々の物語が描かれています。

 これらの物語には、神という存在、その成り立ち、役割、ひいては人間社会に対する影響にも繋がっています。

彼らは自然の象徴や人々の拠り所として私たちの生活に寄り添う存在として語られています。

 たとえば、海の神であるワタツミや、風の神であるシナツヒコといった神々は、自然現象と深く結びついています。

 さらに、稲作の豊穣を祈る田の神や、家内安全を願って崇められる家の神など、古事記や日本書紀の中で、神々は人々の生活の中に根付いた存在として描かれています。

 この日本独自の神様文化は、ただ神を崇めるだけでなく、自然や生活のあらゆる側面に神聖さを感じる感覚を育ててきました。

私もこの記事を書きながら、日々の暮らしの中で感じる気づきは神さまから送られてくるメッセージなのではないかと感じました。

 今回こちらで紹介するのは【事代主神(ことしろぬしのかみ)】という神様です。

この日本の神話体系【古事記】の中から見えてくる【事代主神】のルーツを探り、私たちの文化や生活にどんな影響があるのか見てみましょう 

もくじ

日本神話の起源:古事記に描かれた神々の世界

日本神話の起源は、自然と人々の生活が深く結びついた古代にさかのぼります。

日本列島が形成され、自然現象や動植物に神々を見出した人々は、目に見えない力を神と崇め、その存在を語り継いできました。

このように、神々が世界を創造し、人間の生活に影響を与えるという考え方は、他の文化の神話と同様、日本でも古くから存在していました

 やがて、これらの口承で伝えられていた神話が体系化され、文献としてまとめられるようになります。

 その代表的なものが、『古事記』です。『古事記』は、8世紀ころに作られた日本最古の歴史書であり、天皇の系譜や日本の国土の成立を語る神話が記されています。

 特に、【創世神話】や【天孫降臨】の物語を通じて、神々が日本の自然や文化にどのように関与してきたかが描かれています。

 神々の存在を通じて、日本の精神性や価値観を表現したこの【古事記】は、今日でも神話や文化を理解する重要な鍵となっています

実は私も友人に進められて、古事記の要約本を読んだことがありますが、読み始めると止まらなくなるくらい面白く読めます。

気になる方は一読をお勧めいたします。神さまがとても身近に愛らしく感じると思います。 

事代主神の神話:その登場と重要な役割

 その【古事記】記されている「国譲り」の神話は、特に重要なエピソードの一つです。

 国譲りとは、天照大神(あまてらすおおみかみ)を中心とする高天原の神々が、地上界である葦原中国(あしはらのなかつくに)を治めていた大国主神(おおくにぬしのかみ)に、国を譲るよう要請する話です

 ここで登場するのが、大国主神の息子であり、神託、言霊を司る神【事代主神(ことしろぬしのかみ)】なのです。

事代主神は、父である大国主神が国を譲るかどうかの決定をする場面で、非常に重要な役割を果たします。

 事代主神は国譲りの場面において、父である大国主神の意志を尊重し、そして自らも国を譲ることに同意します。

 大まかな話の流れとしては、天照大神(あまてらすおおみかみ)から国を譲るように大国主命(おおくにぬしのかみ)に交渉をします。

 大国主命はこの判断をのらりくらりとかわすのですが最終的には力づくでももらい受ける。

という所で、大国主命は息子である事代主神(ことしろぬしのかみ)に判断を委ねてあると告げます。

そして天照大神の使者は事代主神の所へ行き、要件をつけると「一切承知した」と言ってそのまま身を隠してしまいました。

その後、事代主神の弟君がでてきたりするのですが、結果的には事代主神が申したのだからもう大丈夫だろう

という事でこの国譲りの話は終幕するのでした。

 少し情けない感じもしますが、この「国譲り」の神話から、日本文化の中における和の精神を感じませんか私は不思議とこのお話から和の心を感じました。

 そして、事代主神の言葉は争い戦うことなく事を納める力がありました。さらには事代主神が申したのであれば大丈夫だろうという絶対な信頼も得ているのです。

 私は言葉を扱う仕事に従事しています。

改めて人間がもっている言葉または文章というものの力強さ、大切さを実感することができました。

事代主神とその役割:事代主神の今

【事代主神(ことしろぬしのかみ)】は現代の日本において神として祀られています。

神託、言霊をつかさどる神として、託宣の神、そして、【恵比須さま】と同等の存在であることから、海の神、福の神として祀られています

その後利益は多岐にわたり、海上安全、豊漁、五穀豊穣、商売繁盛など、どうやら【恵比須さま】としての役割として祀られているケースが多い印象です。

【事代主神(ことしろぬしのかみ)】としての本来の役割は、神託を受け伝える託宣の神であることを覚えておいてください。

国譲りを上手にまとめたのも事代主神の力があったからと考えて間違いありません

 また、天皇家の祖先に対してその託宣の神としての役割を果たし、天上の声を天皇へお届けしたという伝承もあるそうです

 昔の人たちは神さまに色々な役割やご利益を与え祀ることで自然界に起こる現象に対抗するための願いや祈りを込めて過ごしていたのではないでしょうか。

 いまや科学で自然現象が解明されてしまいましたが、その奥にある【未知】の部分に対して想いを馳せることができる限り、人は神という存在を信じて生きていくのではないでしょうか。 

まとめ

 人間の想像的な部分から生まれた【神話】その神話の中から今回は日本における最古のものともいえる【古事記】の中から、【事代主神(ことしろぬしのかみ)】という神様をご紹介させて頂きました。

  • 古事記は、日本の神話体系を文書化した最古の歴史書であり、神々の創造や日本の起源が描かれており、そして神々の存在は日本の文化にも影響を与えている。
  • 国譲りの神話で重要な役割を果たし、その行動は日本の和の心や、言葉の力の大切さを象徴している。
  • 事代主神はもう1つの存在である【恵比須さま】として多くの神社で祀られており、海の神、豊漁、商売繁盛などの後利益を人々に与えている。

    今回は日本の神話が現代の日本文化にどのように影響を与えているかを解説しました。

     特に、【事代主神(ことしろぬしのかみ)】は、言葉や和の心を象徴する神として、日本の文化の中でも言葉の力を大切にする価値観に大きな影響を与えていると私は考えます。

     私も言葉を扱い、言葉で想いを伝える仕事を行っています。今回の記事によって、私たちがあつかう言葉というツールの中に事代主神を感じることができました。

     神話やその中で活躍する神々の存在が現代の日常に影響を与えている

    そう考えると日々の過ごし方が少し楽しくなるかもしれませんね。

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