初詣などで
「長生きできますように」
と一度は願ったことありますよね。
私も自分や家族の長寿をお願いしたことは何度もあります。
もし、長寿を象徴する女神のイワナガヒメが天孫のニニギノミコトに愛されていたなら、長寿を願う必要はなかったかもしれません。
私は、容姿が醜いからと女性としてひどい扱いを受けてしまったけれど、思いやる心を持って強く生きたイワナガヒメが大好きです。
今回の記事では、イワナガヒメという女神の人物像や人生について詳しくご紹介します。
イワナガヒメは不老長寿の女神
イワナガヒメとは日本神話に登場する女神の一人です。古事記では「石長比売」、日本書紀や先代旧事本紀「磐長姫」と記されています。
イワナガヒメは、山の神である大山津見神(オオヤマツミノカミ)と草や野を司る神である鹿屋野比売(カヤノヒメ)の娘です。
また、妹には桜の美しさと儚さを象徴する女神の木花咲耶姫(コノハナサクヤヒメ)がいて、自然を象徴する家庭に生まれ、育ちました。
イワナガヒメはその名の通り、岩のように永遠に変わらない命を象徴する女神と言われています。
岩のような容姿で醜かったイワナガヒメは、心が美しかったとも言われています。
少々の事ではへこたれない岩のように心が強い女性は素敵ですよね。
私も憧れます。
イワナガヒメは悲劇の女神
自然の中で成長したであろうイワナガヒメも年頃になれば、良い方との縁談もあるはずですよね。
そんな時、天照大御神(アマテラスオオミカミ)の孫である邇邇芸命(ニニギノミコト)が、コノハナサクヤヒメに一目ぼれしたので、オオヤマツミノカミに娘と結婚させてほしいと申し出ました。
その時にオオヤマツミノカミは、姉のイワナガヒメも一緒に嫁がせたのです。
私は
「なぜ?」
って不思議に思いましたが、ちゃんと理由がありました。
その理由は、木花のように咲き誇る繁栄のためにコノハナサクヤヒメを、永遠に続く命のためにイワナガヒメを嫁がせたそうです。
しかし、ニニギノミコトはイワナガヒメの醜い容姿と強い霊力が怖くて、オオヤマツミノカミの元へ送り返してしまったそうです。
私も同じ女性として、イワナガヒメを想えば可哀そうだと思いますが、ニニギノミコトは元々コノハナサクヤヒメにしか求婚していないので、送り返してしまった気持ちも分かります。
ただ、送り返してしまったことで、得られるはずだった永遠の命を人間は得ることができず、短命になったと言われています。
もし、ニニギノミコトがイワナガヒメも受け入れ、愛が芽生えていれば、人間が永遠に生きる世界もあったかもしれませんね。
イワナガヒメのその後
自分の醜さを嘆いて、投げた鏡を頼りにたどり着いた米良の土地で引きこもっていたそうです。
一方で、古事記では、木花知流比売(コノハナチルヒメ)と名を変え、須佐之男命(スサノオノミコト)の子である八島士奴美神(ヤシマシヌミノカミ)と結婚し、子供を授かったとされています。
また、伊豆や伊予では、オオヤマツミノカミの元に返された時には、既に妊娠していて、引きこもり先で出産したという伝説も残っているようです。
「1回試してみたけど、やっぱり怖いし、返そう」
となったのならば、ニニギノミコトは最低な男ですよね。
私だったら、呪ってしまいそうです。
イワナガヒメが「君が代」を作った?
「君が代」といえば、日本の国歌です。
日本の学校に通った人であれば何度も歌った経験がありますよね。
私も数えきれないくらい歌っているので、歌詞を見ずとも前奏を聞いただけで間違うことなく歌えます。
実は、君が代の元になる詩をイワナガヒメが詠ったと言われています。
ニニギノミコトに追い返されて引きこもりになってしまったイワナガヒメですが、天皇家の繁栄と山の神を讃える詩を作ったのです。
「千代に八千代に さざれ石の巌となりて 苔のむすまで」
という歌詞は、千年も八千年も小さな石が結束して大きな石となって、苔が生えるまで永遠に続きますようにという意味です。
拒絶され、追い返されてにも関わらず、日本の中心としてニニギノミコトの繫栄が永遠に続くことを願えるイワナガヒメは、とても思いやりのある、心が綺麗で強い女性だったのかもしれませんね。
イワナガヒメについてのまとめ
- イワナガヒメは、岩のように永遠に続く命を象徴する女神
- イワナガヒメは、その容姿のせいで縁談がなくなった
- イワナガヒメのその後は様々な説がある
- イワナガヒメは、君が代の元となる詩を作った
永遠に命を象徴するイワナガヒメは、自然を象徴する家庭に生まれ、育ちました。
天孫ニニギノミコトがイワナガヒメを拒絶したことで、永遠の命を手に入れることはできませんでした。
私は、ゆっくり年を取り、長く生きるという未来も見てみたかったですね。
古事記にあるようにイワナガヒメがコノハナチルヒメと名を変え、幸せな結婚生活を送ってくれていたなら、嬉しいですね。
ニニギノミコトに捨てられても、その人の幸せを願い、想いを込めた詩を詠うことができるイワナガヒメのような女性に私もなりたいです。
心優しいイワナガヒメは、きっと私たちの願いを聞き入れてくれるのではないかと期待しています。