カミムスビは日本神話に登場する神様で、この世に初めに生まれてきた神様『造化三神』のひとりです。
アメノミナカヌシ、タカミムスビについで3番目に高天原に姿を現しました。
古事記や日本書紀、出雲風土記に登場し、母なる神“御祖伸”としても崇められています。
この世に初めて登場したということは、世界の始まりに関わった神様ということですよね!
日本神話にはとてもたくさんの神様が出てきますが、その中でも特別な神様ということになります。
ただ者ではなさそうな『造化三神』に興味を持った私。
また、カミムスビは出雲大社と関わりがある神様だということも分かりました。
私は中国地方に住んでいるので、子どもの頃から出雲大社に参拝する機会がよくあります。
馴染みのある出雲大社と関係があるということで、尚更この神様に興味がわいてしまいます。
「もっとこの神様のことを知りたい」
と思いました。
この記事ではカミムスビの日本神話での活躍や、出雲大社との関わりについて探って行きます。
カミムスビとは?
カミムスビはどのような神様なのでしょうか?
プロフィールをご紹介していきます。
カミムスビは、生命を生み出し豊かな大地を育む土壌を作ったことで、地との関係が強い神様とされています。
漢字では神産巣日神と書き『神』=神々しい、『産巣』=生成・生命、『日』=霊・霊力とそれぞれの文字に意味があります。
名前からカミムスビは“神々しく生成する霊力”がある神様ということが分かります。
万物を創造し、農業にまつわるお話もあるため、大地に力を与える“大地母神”と呼ばれることも。
また、カミムスビには多くの子孫がいるとされています。
“母なる大地”とよくいいますが、カミムスビは大地を生んだ母のような存在なのではないでしょうか?
優しく生命の誕生や私たちの成長を見守ってくれているのかもしれませんね。
特別な存在である『造化三神』は、性別のない独神(ひとりがみ)とされていますが、タカミムスビが男神、カミムスビが女神とされています。
やはり、私たち人類や生物の母なんですね。
カミムスビは3つの日本神話の書物に登場します。
古事記ではカムムスビ・カミムスヒ(神産巣日神)、日本書紀ではカンミムスヒノミコト(神皇産霊命)と表記されています。
出雲風土記にはカミムスヒノミコト(神魂命)という名で登場します。
カミムスビの“ムス”は生命の誕生を表し、生命に関わる偉大な存在なのです。
その存在は、葦原中国(地上)だけでなく黄泉の国にも影響を及ぼすそう!
カミムスビのご利益
すべての生命に関わるカミムスビは、生成だけではなく死を操ることもできました。
また、五穀を撒き地上を豊かにした“農耕神”でもあります。
カミムスビのご利益
カミムスビは生命の生成・復活・再生を司り、次のようなご利益があるとされます。
- 五穀豊穣
- 縁結び
- 厄除け
- 開運招福
- 延命長寿
- 無病息災
食や健康など、私たちが健やかに生きるためのご利益を授かることができるようですね。
では、どこの神社に行けばご利益を授かることができるのでしょうか?
カミムスビを祀る神社
カミムスビは出雲との縁が深く、出雲大社に祀られています。
『古事記』や『出雲風土記』に登場し、出雲で活躍した神様です。
その他にも、カミムスビを祀る神社がいくつかあります。
- 愛知県名古屋市『高牟神社(たかむじんじゃ)』
- 東京都千代田区『東京大神宮』
- 福島県本宮町『安達太良(あだたら)神社』
- 山形県東置賜郡『八所(はつしよ・はっしょ)神社』
カミムスビは宮廷祭祀の重要な神様として扱われていましたが、民間人の間ではあまり一般的ではありません。
だから、あまり知られていないのですね。
神社ではタカミムスビと一緒に祀られているのが一般的です。
カミムスビのご利益を授かりたい方は、近くの神社に参拝に行ってみてください。
カミムスビの活躍
カミムスビは日本神話において、国造りのために様々な活躍をしています。
日本神話からいくつかのお話をご紹介します。
作物の神様
古事記では、天地開闢で高天原に姿を表した後、再び登場することになります。
須佐之男命(スサノオ)が高天原を追放されてしまったときのお話です。
大宜都比売神(オオゲツヒメ)が体の穴から出した食べ物をスサノオに与えます。
それを知ったスサノオは激怒して、なんとオオゲツヒメを殺してしまいました!
オオゲツヒメの亡骸の頭からは蚕、目から種、耳から栗、鼻から小豆、陰部から麦、お尻からは大豆が出ている状態!
それを見たカミムスビはこれらの種を拾い地上に撒きました。
それから地上に作物が繫栄したと伝えられています。
カミムスビは大地母神の性質を持った、農耕神として祀られるようになったのです。
オオゲツヒメの体から、植物の種が飛び出ているなんて驚きますよね!
スサノオも殺してしまうなんて、大胆すぎます。
日本神話は、想像もつかないびっくりするエピソードが多くておもしろいです。
大国主を援助
スサノオの子孫とされる大国主(オオクニヌシ)は、兄たちの恨みを買ってしまい殺されます。
それを知ったオオクニヌシの母神・サシクニワカヒメは、高天原に行きカミムスビに助けを求めました。
カミムスビはキサガイヒメとウムギヒメをオオクニヌシの元に向かわせて、蘇らせることに成功します。
オオクニヌシはスサノオの元で修行をして、須勢理毘売(スセリヒメ)と駆け落ちしてしまいます。
そして、兄の八十神(ヤソガミ)を修行の成果で倒して出雲の主となったのです。
カミムスビがオオクニヌシを援助しなかったら、出雲の主にはなれなかったでしょう。
駆け落ちなど恋愛のストーリーも日本神話にはよく出てきます。
神様たちも人間と同じように波乱万丈の人生を送っていたのですね。
カミムスビは困っている神様に手を差し伸べる、心優しい神様なのかもしれません。
カミムスビと出雲大社
出雲大社はカミムスビを祀る神社として最も有名な神社です。
『出雲風土記』では、御祖命(みおや)と呼ばれて、出雲の神様たちの母なる神様として崇拝されました。
出雲大社は、誰もが知っている日本でもっとも有名なパワースポットでもある神社ですね。
私が車の免許を取って、一番初めに遠出をした場所です。
小さな頃は家族に連れて行ってもらっていましたが、大人になってからは友達とのドライブやデートで出雲大社によく訪れました。
縁結びの神様としても有名だったので、若い子にも人気のある神社です。
子どもが生まれてからも、機会があれば家族で参拝しています。
正門の大鳥居から広く長い参道に入ると、別の世界に来たような感覚があり
「何かのパワーがあるな」
といつも感じます。
神楽殿の大しめ縄に下からコインを投げて、コインが刺さると願いが叶うと言われていて、いつも挑戦しています。
意外と子どものときのほうが刺さることが多かったです。
子どもの頃のほうが欲がなかったのかもしれません。
日本書紀や出雲風土記では、カミムスビが神様を招集し指示を出して、出雲大社を作らせたとされています。
神々が住む高天原の建物を参考にして出雲大社を作ったそうです。
大国主(オオクニヌシ)を蘇生させて助けた後も、自分の子どもである少名毘古那(スクナヒコナ)と一緒に国造りをするよう命じました。
そして、国造りを援助し、杵築(きづき)大社の建設にも関わり大国主を住まわせます。
出雲大社では、祀られているオオクニヌシは広く名が知られていますが、カミムスビも祀られていることはあまり知られていません。
カミムスビは出雲神話に登場する事が多く、出雲の土地に住みついた神様だともいわれています。
また、造化三神の一柱で、天皇家の守護神でもあります。
まとめ
- カミムスビは“大地”との関係が深い神様
- 五穀を撒き地上を豊かにした“農耕神”
- 私たちが豊かに生きるためのご利益を授かることができる
- 国造りのために活躍した神様
- 出雲の地や出雲大社とゆかりのある神様
カミムスビは高天原から出雲の神々を援助する祖神的な存在で、母系社会の母神として存在した神様だということが分かりました。
出雲大社のそばの高い木がたくさん生えている広々した草地を、小さかった頃の子どもが楽しそうに走り回っていたときのことを思い出します。
太陽の日が木々の間から指していて、とてもきれいな景色でした。
カミムスビが子どもたちの走る様子を、そっと見守っていてくださったのかもしれません。
今年ももうすぐ夏休みに入るので、大きくなった子どもたちを連れて出雲大社にお参りしようと思います。