スサノオ(素戔嗚尊)をご存じですか?
夫婦神であるイザナギとイザナミの間に誕生した神々の一人です。
正確には、イザナギの目から生まれたスサノオですが、スサノオの神話の中では母はイザナミとなっています。
日本神話に登場する、多面性の顔を持つとして有名な神がスサノオ(素戔嗚尊)です。
英雄の神、荒ぶる神、そして冥界の神。
「え?善なの?悪なの?どっち?」
って、思いませんか?
ただでさえ神話って神秘的なストーリーですよね。
さらに多面性の神がいるなんて、私はとても気になりました!
この記事ではスサノオの多面性を1つ1つ紹介します。
あなたには、どの顔が印象に残るでしょうか・・・?
英雄の神
スサノオは高天原という天界で、海原の統治を任されていました。
荒ぶった性格の一面があるスサノオは、問題を起こすことも多々ありました。
母イザナミの没後に
「イザナミのところに行きたい」
と、駄々をこね、任されていた海原の統治をしなくなってしまいました。
イザナミがいる“根の国”に行くことを決め、姉である天照大神に挨拶をしに行ったところ、天照大神はスサノオを警戒して岩戸に隠れてしまいます。
太陽神である天照大神が隠れてしまった事で、“天岩戸隠れ”という世界が闇に包まれる事件が起こってしまいました。
これを機に、スサノオは天界を追い出されてしまい、地上で生活することになるのです。
地上でたくさんの冒険をするスサノオですが、英雄の神と言われるきっかけになったのが“ヤマタノオロチ(八岐大蛇)との戦い”です。
毎年、美女を犠牲にしていたヤマタノオロチを倒し、英雄として多くの尊敬を集めました。
この戦いだけをみると、確かにスサノオはヒーローですよね。
とても勇敢な神だと思います。
荒ぶる神
スサノオには、姉・天照大神(アマテラスオオミカミ)と、兄・月読命(ツクヨミノミコト)がいます。
スサノオは生まれたときからずっと、亡き母であるイザナミに会いたくて泣いていました。
時には世界が災厄の渦になるほど泣くこともありました。
そんなスサノオは、姉である天照大神と姉弟喧嘩をしました。
スサノオが勝つのですが、喧嘩に勝ったと喜んだスサノオは暴走します。
天照大神が大事にしていた田を破壊したり、新嘗祭(にいなめさい)という大事な儀式を行う御殿に糞をしたりと、とんでもない大暴走です。
天照大神はスサノオの暴走をかばう発言をしますが、スサノオの暴走はこれだけでは終わりませんでした。
通りかかった小屋の屋根に穴をあけ、全身の皮をはいだ馬を投げ込みました。
中にいた女性は驚いた拍子に怪我をしてしまい、その怪我が原因で亡くなってしまいます。
また、スサノオは地上に降りた際に、食べ物を探して訪れた女神オオゲツヒメを殺したともいわれています。
食べ物を作る様子を覗いたところ、鼻や口、お尻から食べ物を出していました。
それを見たスサノオは怒り狂い、殺してしまいます。
亡くなったオオゲツヒメの身体からは種や豆類が生まれました。
ちなみに、これによりスサノオを“豊穣の神”として祀っている神社もあります。
私の持っている“神のイメージ”は落ち着いていて、物静かな感じでした。
なので、スサノオのストーリーは奇想天外すぎて心を奪われましたね。
“やんちゃ”という言葉では足りない!
“荒ぶる”が合っていると思いました。
冥界の神
子孫の一人である大国主(オオクニヌシ)の神話で再び登場するスサノオ。
スサノオは冥界の神となっています。
冥界の神として、子孫たちに様々な試練を与える存在になっていたのです。
有名なものが、オオクニヌシに与えた試練です。
兄弟間のいざこざで、兄たちから命を狙われていたオオクニヌシはスサノオの元へ逃げました。
そこでスサノオの娘であるスセリビメと出会い、お互いに惹かれあいます。
スセリビメはスサノオにその気持ちを伝えました。
そこから“スサノオの試練”が始まります。
- 大量の蛇がいる部屋で一晩過ごす
- 大量のムカデとハチがいる部屋で一晩過ごす
- 火の海となった野原に放った矢を拾いに行く
- スサノオの頭のシラミ(実はムカデ)を取らせる
オオクニヌシはスセリビメや周りの助けにより、これらの試練をすべてクリアしました。
試練というより、嫌がらせですよね(笑)
スサノオが眠ってしまったときにオオクニヌシとスセリビメは、太刀と弓矢を持って逃げ出すのですが、それを見つけたスサノオは
「その太刀と弓矢を使って兄たちを倒せ」
と、命じます。
それに従ったオオクニヌシは後に立派な神へと成長を遂げます。
冥界の神というより、“娘を想う父”としてのイメージが強く感じられます。
しかし、オオクニヌシは自身の子孫にあたるので、子孫が強くなるための試練なのだと思いました。
まとめ
スサノオノとは
- 勇敢で頼もしい英雄である
- やんちゃを通り越した荒ぶる神である
- 愛深き神である
多面性を持つ神として知られるスサノオは日本神話の中でも人気のある神々の一人です。
勇敢な一面を持つ一方、暴走してやりすぎてしまうスサノオ。
無謀にも思えますが、実は愛を持っていたのかもしれません。
私は、スサノオの行動は“強い”という自信から来ているように感じました。
“強い”からヤマタノオロチと戦い、“強い”から自分の感情を目一杯表現し、“強い”から自分の子孫にもそうであってほしいと思ったのではないでしょうか。
個人的には、一番衝撃を受けたのは“荒ぶる神”の一面です。
しかし、印象として残っているのは“冥界の神”としての愛深き一面です。
なので、私は善と悪、どちらかと聞かれたら
「善」
と答えます。
あなたの一番印象に残ったスサノオは、どのスサノオでしたか?
「スサノオは善と悪、どっちだと思いますか?」